Tuesday Aug 13, 2024

めっけ鳥

昔、森の監督官がいて、狩りをするため森に入っていくと、まるで小さな子供のように、泣き声が聞こえてきました。その音をたどっていくと、とうとう高い木のところに来て、一番上に小さい子供が座っていました。というのは、子供と一緒の母親が木の下で眠ってしまい、母親の腕にだかれているのを捕食する鳥がみて、舞い降り、わしづかみにして高い木の上に置いたからです。
森の監督官は木に登り、子供を降ろし、(この子を家に連れて帰り、うちのリナと一緒に育てよう)と思いました。それで、子供を連れて帰り、二人の子供たちは一緒に育ちました。それで、木の上でみつけた子は、鳥がさらったので、みつけ鳥と呼ばれました。みつけ鳥とリナはお互いをとても好きだったので、お互いが見えなくなると悲しくなりました。
さて、森の監督官には年とった料理人がいましたが、ある晩、桶を2つ持って水を汲み始め、1回だけでなく何度も泉にでかけました。リナはこれを見て、「ねえ、ザンナばあや、どうしてそんなにたくさんの水を汲んでいるの?」と言いました。「誰にも言わないなら、どうしてか教えてあげるよ。」それでリナは、ええ、誰にも言わないわ、と言いました。「明日の朝早く、だんなが狩りにでかけたら、お湯を沸かし、釜で沸騰したら、みつけ鳥を投げ入れて煮るのさ。」と料理人は言いました。
次の朝早く、森の監督官は起きると狩りにでかけ、いなくなったとき、子供たちはまだベッドの中にいました。それで、リナはみつけ鳥に、「あなたが私を見捨てないなら、私もあなたを見捨てないわ。」と言いました。みつけ鳥は、「今も、これからも決してあなたを見捨てないよ。」と言いました。それでリナは「じゃあ、言うわね。夕べ、ザンナばあやがすごくたくさん水を運んでいたから、どうしてか聞いたの。そしたら、ばあやが言うことを誰にも言わないと約束するなら教えてくれるって言ったのよ。私が絶対誰にも言わないって言ったら、明日朝早く、お父さんが狩りに出かけたら釜に水をいっぱい入れてあなたを投げ入れて煮るんだと言ったの。だけど、早く起きて服を着て一緒に逃げましょう。」と言いました。
それで、二人の子供たちは起きて、急いで服を着ると逃げました。釜の湯が沸騰してきたとき、料理人はみつけ鳥をつかまえてお湯に放り込むため寝室に入って行きました。しかし、中へ入ってベッドに行ってみると二人ともいませんでした。それでとても驚いて、「だんなが帰ってきて子供たちがいないとわかったら、なんと言おうか。すぐに連れ戻しにおいかけなくちゃ」と独り言を言いました。
そこで料理人は、3人の下男を送り、走って子供たちにおいつかなくてはいけないと言いました。しかし、子供たちは森の外側で座っていて、遠くから3人の下男が走ってくるのを見たとき、リナは、「私を見捨てないで、そしたら私もあなたを見捨てないわ。」とみつけ鳥に言いました。みつけ鳥は「いまもこれからも絶対見捨てないよ。」と言いました。するとリナは、「あなたはバラの木になって。わたしはその上のバラの花になる。」と言いました。3人の下男が森に来てみると、バラの木と1輪のバラの他は何もなく、子供たちはどこにもいませんでした。
それで、「ここでは何もすることがないよ。」と言って帰り、料理人に、森では1輪のバラがついたバラの木の他は何も見なかった、と話しました。すると、年とった料理人は叱って、「馬鹿、馬鹿、お前たちはそのバラの木を2つに切って、バラを切り落とし、家に持って帰らなくちゃいけなかったんだよ。行ってすぐやりな!」と言いました。そういうわけで、下男たちは2回目にでかけ探しました。しかし、子供たちは遠くから下男たちがくるのが見えて、リナは、「みつけ鳥、私を見捨てないで、私もあなたを見捨てないわ。」といいました。みつけ鳥は「今もこれからも絶対に見捨てないよ。」と言いました。リナは「じゃあ、教会になって。私はシャンデリアになる。」と言いました。それで下男たちが来たときは、教会とシャンデリア以外は何もありませんでした。それで、お互いに「ここで何ができるんだい?帰ろう。」と言いました。
下男たちが帰ってくると、料理人は子供たちをみつけなかったのかいと尋ねました。それで下男たちは、「ああ、教会以外は何もみつけなかったよ。教会の中にシャンデリアがあったけど。」と言いました。それで、料理人は叱って、「馬鹿だね、どうして教会を引き倒してこなごなにし、シャンデリアをうちに持ってこなかったんだよ?」と言いました。そして今度は自分でも歩いて3人の下男と子供たちを追っていきました。しかし、子供たちは遠くから3人の下男がやってきて、料理人がそのあとをとことこくるのを見ました。それで、リナは、「みつけ鳥、私を見捨てないで、私もあなたを見捨てないわ。」といいました。みつけ鳥は「今もこれからも絶対に見捨てないよ。」と言いました。リナは「じゃあ、池になって。私はアヒルになる。」と言いました。しかし、料理人は近づいてきて、池を見るとそのそばに腹ばいになり、水を飲み干そうとしました。しかしアヒルが料理人のところにすばやく泳いでいき、くちばしで頭をつかむと水の中に引き込みました。それで料理人は溺れてしまいました。それから子供たちは一緒に家へ帰り、心から喜びました。もし二人が死んでいないなら、今でもまだ生きています。

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