Tuesday Aug 13, 2024
めんどりの死んだ話
昔、めんどりがおんどりと一緒にくるみの山に行きました。二人は、どちらが先にくるみの実をみつけても二人で分けようね、と決めていました。そうしてめんどりは大きい、大きいくるみをみつけたのですが、一人で食べようと思って、何も言いませんでした。ところが、実が大きすぎて飲み込めず喉につかえてしまいました。それでめんどりは息がつまって死にやしないかと心配になり、「おんどり、お願いだから、急いで走って、水を汲んで来てちょうだい。そうしないと私は息がつまって死ぬわ。」と叫びました。
おんどりは急いで泉まで走り、「泉、水をおくれ。めんどりがくるみの山でねている、大きなくるみをのんで息がつまっているんだ。」と言いました。泉は、「先に花嫁のところに走っていって、赤い絹をもらいなさい。」と言いました。おんどりは花嫁のところへ走り、「嫁さん、赤い絹をおくれ、泉に赤い絹をあげたいんだ。泉は僕に水をくれることになっている。その水をめんどりに持っていくんだ。めんどりはくるみのやまでねている。大きなくるみをのんでしまって息がつまっているんだ。」と言いました。すると花嫁は、「その前に走っていって、柳にかかっている私の花の冠を持って来て」と答えました。
そこで、おんどりは柳のところに走って行き、枝から花の冠を引いてとり、それを花嫁に持って行きました。すると花嫁はひきかえに赤い絹をくれました。それを泉に持って行くと、泉はひきかえに水をくれました。そうしておんどりはめんどりに水を持って行きました。しかし、おんどりがそこに着くと、めんどりはその間に息がつまって死んでしまい、倒れたまま動きませんでした。それでおんどりはとても悲しんで大声で泣きました。
動物がみんなやってきて、めんどりの死を悼みました。六匹のねずみが小さな車を作り、めんどりを墓に運ぶことになりました。車ができると、ねずみたちが車をひき、おんどりが御者になりました。ところが、途中で狐に会いました。狐は、「どこへ行くんだい?、おんどりくん」と言いました。「僕はめんどりをほうむりに行くんだ。」「一緒に乗ってもいいかい?」「いいよ、だけど、車の後ろに座って。前だと僕の小さな馬たちが引っ張れないからね。」
そこで狐が後ろに座りました。そのあと、狼、熊、鹿、ライオン、と森のけものたちみんなが同じようにして乗り込みました。そうして葬列が進んでいくと、小川に着きました。「どうやって渡ろうか」とおんどりが言いました。小川の岸にわらが転がっていましたが、「僕が向こう岸までねるよ、そうしたら僕の上を通れるよ。」と言いました。しかし、6匹のねずみが橋にさしかかると、わらが滑って水に落ち、6匹のねずみたちがみんな落ちて溺れてしまいました。それでみんなはまた困りました。すると炭がやってきて、「僕は十分大きいから、向こう岸まで寝ころぶよ。そうしたら僕の上を通れるよ。」と言いました。そこで炭も水の上に横になりました。しかし運悪く少し水に触れてしまい、それで炭はじゅっと言って消え死んでしまいました。
石がそれを見て、おんどりを気の毒に思い、救いの手をさしのべ、水の上に横になりました。そうしておんどりが自分で車を引きましたが、死んだめんどりと一緒に川を渡り向こう岸に着き、後ろに座っている他のけものたちもひきよせようとしたとき、あまりたくさん乗っているので、車が後戻りし、みんな川に落ちて、溺れて死んでしまいました。そうしておんどりだけが死んだめんどりと一緒に残りました。おんどりはめんどりの墓を掘り、めんどりをそこに入れ、その上に盛り土を作りました。その上におんどりは座り悲しんでいましたが、とうとうおんどりも死んでしまいました。そうしてみんな死にました。
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